漬物器deゲルマラジオ
漬物の試作ではなく、ゲルマラジオを試作しますよ。
漬物器もまさかラジオのボディになるとは思わないでしょう。
ところで皆さん、「漬物器」と言うと、どのようなものをイメージされますか。木の樽や陶磁器に重しを連想される方、本格的ですね。 今回の試作では、いわゆる「卓上漬物器」とか「簡易漬物器」とも呼ばれている、プラスチック製の容器を使います。 蓋の上にあるハンドルを回すことで、押し棒に付いた押しぶたが下がり、中の野菜を加圧する容器であるため、重しが不要で漬物が手軽にできる容器です。 この押しぶたの上下機構を、バリコンに使ってしまおう! と言うのが、今回の味噌です。味噌漬け、美味しいですね、HI。
漬物器deゲルマラジオです。蓋はポリプロピレン、キャップはAS樹脂。
電極距離可変型のバリコン
コンパスカッターは100円均一ショップで購入
今回利用した漬物器は直径約16cm、高さ約20cmの円柱形です。DIY店で購入したのですが、1000円でお釣りが来る値段でした。
さて味噌のバリコン部分ですが、加工の容易さから、電極にはアルミ箔を使います。 アルミ箔の切り出しには、コンパスカッターを使いました。 カッターの刃は力を入れ過ぎず、滑らせる感じで動かし、その後、手で切り目を引き離すようにすると綺麗に切り取れます。 漬物器の底がステータ、上下する押しぶたがローテータ側になりますが、それぞれ、配線用の部分も併せて切り出します。 切り出したアルミ箔は、両面テープで漬物器に固定します。 アルミは通常の半田付けができないので、ゼムクリップで挟んで接続します。 ゼムクリップと電線は、半田付けしています。
同調コイルですが、直径0.6ミリメートルのUEW(ウレタンエナメルワイヤー)を70回巻きました。 アンテナ接続用に、10回目でタップを出しています。 漬物器がポリプロピレンなため、巻いたUEWが滑りやすいのは難点です。 漬物器に貫通孔を空けるなど、工夫が必要でした。 漬物器本体にターミナルとイヤホンジャックを取り付けました。 ゲルマニウムダイオードは、ターミナルとイヤホンジャックの間で配線しています。
カッターの刃を強く押して切断しようとすると、逆に切りにくいかも。
アルミ箔を切り出した電極。上がステータ、下がローテータ。
アルミ箔を貼った状況。ローテータが容器の中心から少しずれてしまいました orz
本体側とふた側は、電線1本の接続です。長さは十分余裕を持たせます。
電極のアルミ箔は、電線を半田付けしたゼムクリップで接続します。
電線の力が加わらないよう、結びを付けて押し棒を貫通させています。
取り付けたターミナルとイヤホンジャックの間にダイオードを配線しています。
ステータ側電極も同じく、ゼムクリップ接続です。
野菜を漬けずに、電荷を付けるとラジオが鳴ります(!?)
アンテナとアースを付けて、ハンドルを回転させると、ちゃんと地元局が受信できました。コイルやバリコンの電気的特性は、容器の大きさに影響を受けます。もし、低い周波数の中波放送が受信困難な場合は、100〜300pFのセラミックコンデンサーをバリコンに並列接続するか、コイルの巻き数を増やす必要があります。誘電率の高い材料を電極に張るのも手法もあります。漬物器deゲルマラジオの回路図は次のとおりです。
漬物器の本体底と押しぶたは、平坦ではなく、僅かに凹凸が存在します。 そのため、押しぶたを容器の底まで強く押し付けてしまうと、アルミ箔を損傷させる恐れがあります。 本体底にストッパーを取り付けておけば損傷を回避できるでしょう。
ちなみに、ポリバケツにコイルを巻いて作るゲルマラジオと形態的に似ていますが、漬物器deゲルマラジオはバリコンも自作対象となっています。 端子をボルトとナットに置き換え、イヤホンジャックも省略してしまうと、まともな電子部品はダイオードとセラミックイヤホンだけになってしまいます。
今回のゲルマラジオは、バリコンの電極距離を可変することで選局しています。 市販のバリコンは、面積を可変させるタイプであり、ハンドルを回転させても、同調の感覚&間隔が違ってくるのは面白いところです。