FMゲルマラジオ・モデル2
自宅でFMゲルマラジオの受信ができない場合、屋外で受信実験を行うことになるでしょう。 当然、外部アンテナを使うことになりますが、同じアンテナでも設置状況によってアンテナの電気的特性(出力インピーダンス)は変動します。 より良い受信結果を求めるには、入出力インピーダンスを整えて、できるだけロス(損失)を減らすことが大切でしょう。 この発想から、インピーダンスマッチを重視した高性能なFMゲルマラジオを試作してみました。
ポリバリコン3個を使用したFMゲルマラジオです。
回路構成ですが、アンテナとのインピーダンスマッチには、π型のアンテナカップラーで調節します。 このカップラーは、中波用のポリバリコン2個(VC1、VC2:270pF)とFCZコイル1個(80MHz用、7mm角)で構成します。 同調回路はFM用のポリバリコン(VC3:20pF×2を直列接続)と、FCZコイル(80MHz用、7mm角)を組み合わせます。 FM用のポリバリコンが入手できない場合は、中波用のポリバリコンに8〜10pFのセラミックコンデンサーを直列に接続すればよいでしょう。
復調回路はスロープ検波です。 使う部品はゲルマニウムダイオード1個だけであり、復調原理に違いはありますが、回路自体はAMの検波と同じです。 FMの復調手段としては簡便な手法ですが、復調回路を比較実験した結果、スロープ検波の出力が最も大きいことを経験された諸先輩もおられます。 ダイオード1つだけで復調回路を構成しているので、他の本格的な(=きれいな音質が得やすい)復調回路より、信号のロスが少ないのかもしれません。 そして、クリスタルイヤホンとのインピーダンスマッチには、低周波トランスのST−30を使います。 低周波トランスの効果を確認するため、本試作ではイヤホンジャック2個を使いましたが、スイッチで切り替えれば使い勝手は向上しそうですね。
これらの部品は全て、ユニバーサル基板に取り付けて試作品を組み立てました。 アンテナ端子はBNCを基板に直付けしています。 これでアンテナの引き込み線として、同軸ケーブルの使用を容易にしました。
FMゲルマラジオ・モデル2の回路図
3か所のバリコン操作で高性能を引き出す
都合、このゲルマラジオではポリバリコン3個を使うことから、操作には慣れが必要であり、最初の受信は難儀するかもしれません。 一度でも受信できれば、つまみに目印を付けることで次回の操作は楽になりますが、そこまでたどり着くのに一苦労します。 受信できるまで根気よく操作するしかありませんが、むやみに操作しても効率が悪いだけです。 理想論になりますが、以下の方法をお勧めしたいと思います。
はじめに同調回路のバリコンVC3を操作して、FMトランスミッターの出力を受信(放送周波数に同調)させます。
この時点では、アンテナカップラーが未調節な状態ですが、基板の裏面からFMトランスミッターを同調回路へ接触すれば復調音が確認できます。
同調周波数をセットしたならば、受信アンテナを接続し、アンテナカップラーの出力側バリコンVC2を最小容量にします。
ここでアンテナ側のバリコンVC1を最小容量から最大容量まで変化させます。
音量に変化がなければ、アンテナカップラーの出力側バリコンVC2の容量を少しだけ増加させてから、アンテナ側のバリコンVC1を再度、最小容量から最大容量まで変化させます。
以降、この操作を繰り返し、音量が最大になるポイントを探していきます。
基板裏面の様子。
ユニバーサル基板の材質はガラスエポキシです。
購入した中波用ポリバリコンにはトリマーが付いていました。
VC1のトリマーは最大にセットしました。
VC2のトリマーは最小にセットしました。
VC3のトリマーも最小にセットしました。
2連バリコンなので、トリマーも2つあります。
一度受信できれば要領も得られるので、後の操作は簡単でしょう。
VC3は受信局を変更するため操作しますが、VC2は微調整で、VC1はアンテナの設置状況に応じて少しの調整で良いはずです。
BNCは50オームのタイプを使っています。
この場合、50オームの同軸ケーブルを使うことになります。
2エレ八木アンテナで受信実験
後日、自作した2エレ八木アンテナと組み合わせて受信実験を行った結果、受信距離の自己記録を2.7倍、更新しました! くわしくは再・ゲルマラジオでFM放送を受信したいをご覧ください。
(2010/05/16追記)