壁ループ・ゲルマラジオ
ループアンテナ型ゲルマラジオの受信性能を向上させる方法の1つとして、ループを大きくする方法があります。 室内第2アンテナの増設として、室内最大級のループアンテナ「壁ループ」が利用できるようになったので、このアンテナを同調形ループとして利用するゲルマラジオを試作しました。壁面にループアンテナを配置することで、2.5×3.5mのサイズを得ています。
壁ループ・ゲルマラジオの外観
壁ループ・ゲルマラジオの内部
壁ループ・ゲルマラジオの回路図
室内第2アンテナに接続した様子
使用した部品はエアバリコン(380pF)、ゲルマニウムダイオード(1N60)、スイッチ付きの可変抵抗器(10kΩ、Aカーブ)、イヤホンジャックです。 これらをプラスチックケース(タカチ電機工業製SW-85)に収め、ダイヤルを取り付けて完成です。
同調範囲はバリコンの容量と壁ループ自体のインダクタンス、分布容量で決定されます。管理人の場合は3ターンで、おおよそ550〜1050kHzになりました。1000kHz以上を受信するには2〜1ターンのタップに接続します。
悪条件ながらも、イヤホンは大音量
管理人の壁ループは、指向性が放送塔と一致していない、分布容量が大きくQの低下が予期されるなどの悪条件があります。しかし、さすがにループの大きさが功を奏して、14km離れた5kW局をクリスタルイヤホンで聞くには、この壁ループ・ゲルマラジオはオーバースペックで、少々音が大きすぎます。普段、静かにラジオを聴くなら、63cm角のループアンテナを使用したゲルマラジオで十分です。
壁ループ(室内第2アンテナ)のスケールメリットは、どの位あるのでしょうか。 巻き具合が同じ密着・ガラ巻きタイプの63cm角ループアンテナと比較してみました。 電圧測定は負荷抵抗をOFFにして、デジタルマルチメーター(M-3870D)で測定したものです。 大型密巻きループの平均出力は、今回試作した壁ループ・ゲルマラジオに接続し、壁ループの影響を受けないよう別の部屋で改めて測定しています。
名称 | 壁ループ | 大型密巻きループ | |
ループサイズ | 2.5m×3.5m | 63cm×63cm | |
巻き数 | 3 | 7 | |
使用電線 | VFF2.0φ | ベル線0.8φ | |
インダクタンス | 150μH | 119μH | |
配置(指向性) | 約40度のズレ | 放送塔へ | |
平均出力(648kHz、5kW局) | 668mV | (VCの容量不足で同調不可) | |
平均出力(738kHz、5kW局) | 596mV | 91mV | 129mV |
平均出力(1035kHz、1kW局) | 127mV | 9mV | 15mV |
壁ループを同じ配置条件の大型密巻きループと比較すると、出力電圧に6〜14倍の違いがありました。面積比で22倍、巻数比で0.4倍あり、線材やインダクタンス、周波数でQも異なるので、大まかには10倍程度の性能差があると思っています。
スピーカー駆動も可能
イヤホンの次は、ゲルマラジオをヘッドホン、スピーカーで聴くためのアダプターを試用してみました。 トランペット型スピーカー(TOA株式会社製ホーンスピーカSC−710A)を接続すると、ローカル3局(5kW局、1kW局)ともスピーカーが鳴りました。 大音量とはいきませんが、部屋が静かであればスピーカーの手前2mなら、放送内容が聞き取れます。 就寝の際に枕元に置く(0.3m)ならば、丁度良いか少々うるさい程です。
アダプター利用で、トランペット型スピーカーが鳴ります
ヘッドホンだと澄んだ音を実感。トランス切替BOXを試用中。
また、密閉ダイナミック型のヘッドホン(オーディオテクニカ製ATH−T3)も十分な音量で鳴ってくれました。出力電圧がダイオードの順方向電圧を十分超えているためなのか、よく聴くと意外と音が澄んでいるようにも感じられます。
ちなみに、トランス切替BOXも試用したところ、スピーカー、ヘッドホン共に最も音量が大きな組み合わせはST−34を利用した場合であり、ゲルマラジオをヘッドホン、スピーカーで聴くためのアダプタと同じ構成でした。