FAQ(よくある質問)2
ゲルマラジオを作ってみましたが、何も聞こえません
主に次の理由が考えられます。
1 配線不良
部品の接続を間違えていることがあります。また、半田付けが不十分で、電気的に接続されていないことがあります(いも半田、天ぷら半田)。
2 組立て時に部品を壊している
取り扱っているうちに、イヤホンのコードを内部で断線させたり、半田付けの熱を過剰に加えてダイオードやポリバリコンを壊してしまうことがあります。
3 電波が弱い場所で受信しようとしている
鉄筋コンクリート家屋の室内など、トランジスターラジオでも満足に受信できない場所では、受信は期待できません。
4 性能不足、調整ミス
アンテナ回路(アンテナとアースの両方)は、施工状態が大切です。自作パーツの性能不足や調整ミスでもラジオは聞こえません。
正直、インターネット上で、この手の回答は厄介です。質問者は「正しく作った」と主張されますが、現実に聞こえないのですから、何か原因があります。作品の全体写真(外観)を見せられても、電気的状況の把握は困難です。冷静に現状を客観的にチェックし、問題点を発見できるかどうかが鍵です。
部品の良否はチェックできますか
破損しているかどうかのチェックは、部品が個別の状態であれば、次の方法で確認できます。テスターは抵抗レンジ(アナログ式は「×100 Ω」レンジ)を利用します。
1 クリスタルイヤホン(セラミックイヤホン)
イヤホンを耳に入れて、イヤホンの電線をショートさせると、一瞬「ガリッ」と音がします。音が出れば良品です。出ない場合は、コード切断などのトラブルがあります。良品でも連続で何回もショートを繰り返すと音が出なくなります。良品のイヤホンの電線に、それぞれテスト棒を接触させると、大きな音が一瞬聞こえるでしょう。
2 ダイオード(検波器)
ダイオードの両端に、それぞれ赤のテスト棒と黒のテスト棒をつなげ、テスターの表示を確認します。次はテスト棒を逆にしてつなげ、テスターの表示を確認します。どちらか一方の測定において、抵抗値がとても低くゼロに近い状態と、他方の測定において、抵抗値がとても高くなる状態が観察されたら良品です。違う場合(いずれの測定でも導通が無い場合など)は、不良品です。
3 バリコン
大半の市販品はつまみが180度回転します。テスターで測定しながらつまみを回転させて、抵抗値が無限大であれば良品です。一瞬でも表示が変化する場合はトラブルがあります。エアバリコンでも強度が弱い製品では、金属板が接触しあうトラブルが発生しやすいです。
4 同調コイル
テスターで測定して、抵抗値がとても低くゼロに近い状態であれば良品です。抵抗値が無限大であれば断線のトラブルがあります。
ゲルマラジオのケースは金属製と非金属製、どちらが良いですか
ゲルマラジオで金属ケースを使用する場合、コイルへの影響を注意します。 コイルが金属に接近すると、電気的特性(リアクタンス)が変化する恐れがあります。 つまり、非金属ケースに収めると受信できたのに、同じ回路を金属ケースに収めると、受信周波数がずれてしまうのです。 また、金属ケースの内部はシールド(電磁気的に外部と遮断)された状態になります。 このため、ケース内部に収めた同調コイルがアンテナの役割りも兼ねる場合(具体的にはバーアンテナを使用した場合)、ケース内部まで電波が通過しないので、受信できません(ただし、アンテナが外部にあれば、接続する電線を通じて金属ケース内部に電波が伝わります)。 部品配置などをしっかり設計すれば金属ケースでも問題ないのですが、よく分からない場合は、プラスチックや木材など、 非金属ケースをお勧めしたいと思います。
独自にコイルやループアンテナを製作したいのですが、巻き数がわかりません
放送局の周波数を捉えるため、使用するバリコンの容量が決まれば、コイルの特性(インダクタンス)も決まります。 まずは実際の作例を参照し、使用しているバリコンに対し、巻き枠の大きさや形状、電線の種類や直径、巻き数、巻き方などの傾向を掴んでおきましょう。 製作に必要な電線の長さも確認しておくとよいです。
また、拙作ですが、ゲルマラジオ設計支援ソフト「GRDS」がフリーウェアで公開されています。 このソフトは、コイルのインダクタンスや同調周波数等が計算できるので、よろしければご利用ください。 現実的には、製作誤差、配置された周囲の部品やアンテナ回路の影響を受けるので、理論値の巻き数ではうまくいかない場合もあります。 対策としては、コイル設計に余裕を持たせる、多めに巻いてほどきながら調節する、タップを出して接続を変更する方法が一般的でしょう。 タップを出す利点として、最も有利な箇所にアンテナの接続を選択できる側面もありますので、お勧めしたいと思います。