インピーダンス
オームの法則とインピーダンスの説明です。
オームの法則
電気の代表的な単位として、電圧の基本単位V(発音は「ボルト」)、電流の基本単位A(発音は「アンペア」)、抵抗の基本単位Ω(発音は「オーム」)があります。 これらの電圧、電流、抵抗の相互関係を示した「オームの法則」は、電気分野に欠かせない大変有名な法則です。
オームの法則は、「電気回路に流れる電流I(A)は、電圧E(V)に比例し、抵抗R(Ω)に反比例する」法則です。 数式で表現すると、1の式に該当します。
1 | I=E/R | 電流=電圧÷抵抗 |
2 | E=IR | 電圧=電流×抵抗 |
3 | R=E/I | 抵抗=電圧÷電流 |
2、3のように変形した表現も、同じオームの法則です。 したがって、電圧、電流、抵抗のうち、2つの値が決まれば、残り1つの値は計算で求めることが出来ます。
インピーダンス
電気は、電流の流れる方向で区別すると、常に一定方向に流れる「直流」と、交互に反対方向にも流れる「交流」に大別されます。 電子部品である抵抗器は、交流や直流の違いで、電流の流れにくさ(抵抗成分の大きさ)は変化しません。 ところが、コイルとコンデンサーは、交流と直流の違いで、電流の流れにくさ(抵抗成分の大きさ)が異なります。 さらに同じ交流でも、周波数の高低で電流の流れにくさ(抵抗成分の大きさ)が変化します。
電流の流れ方 | コイル | コンデンサー | 抵抗器 |
---|---|---|---|
直流(周波数=0) | 抵抗成分はゼロ (ショート、短絡状態に相当) | 抵抗成分は無限大 (オープン、開放状態に相当) | 抵抗成分は一定値 (変化なし) |
周波数の低い交流 | 小 | 大 | |
周波数の高い交流 | 大 | 小 |
直流や交流に関係なく一定の値を持つ抵抗成分をレジスタンス、交流に対して作用する特有の値を持つ抵抗成分をリアクタンスといいます。さらに、直流に対する抵抗成分と交流に対する抵抗成分を一緒に考え合わせた抵抗値を、インピーダンスといいます。
コイルは、周波数が高くなるほどインピーダンスは増加し、周波数が低くなるほどインピーダンスは減少します。 コンデンサーは逆に、周波数が高くなるほどインピーダンスは減少し、周波数が低くなるほどインピーダンスは増加します。 抵抗器はリアクタンスを含まないので、交流、直流の区別無く、インピーダンスは常に一定です。
これらの特性を数式で表現すると、次のとおりです。
素子、部品名 | コイル(インダクタ) | コンデンサ(キャパシタ) | 抵抗器(レジスタ) |
レジスタンスの大きさ | R | ||
リアクタンスの大きさ | 2πfL | 1/2πfC | |
インピーダンスの大きさ | √(R2+(2πfL−1/2πfC)2) |
オームの法則は抵抗(レジスタンス)だけでなく、リアクタンス、インピーダンスも法則が適用されます。
なお、リアクタンス、インピーダンスにj(数学の虚数iに該当)を含む場合は、交流電圧と交流電流のタイミングのズレ(位相の違い)も合わせて表現しています。理解には複素平面の知識が必要です。