同調回路
同調回路は、目的の電波(ラジオ放送)を1つだけ選びます。同調回路では、コンデンサーとコイルを使用します。
コンデンサー
コンデンサーは2枚の金属板を平行に配置して、接触しない状態の基本構造を持ち、電気を蓄える性質があります。 一般に、電気を蓄えられる量(容量)を変化できるコンデンサーは、可変容量コンデンサー(通称「バリコン」)と呼ばれています。 ゲルマラジオではポリバリコンとエアバリコンを使用する例が多いです。 いずれも部品を小型化させるため、使用する金属板は基本構造の2枚ではなく、複数の金属板を狭い間隔に並べています。 軸を回転させると、金属板が重なり合う面積が変化し、電気を蓄える量(容量)が変化します。
なお、使い道が異なるもので、同じく電気を蓄えるものに、充電式のバッテリーがあります。 バッテリーは大容量で充電し、電気製品にパワーを送ることが大切です。 これに対し、バリコンはとても僅かしか充電しませんが、きめ細かに容量を変化させる事が重要な精密部品です。
ポリバリコン。右側はバリコン2つを内蔵したタイプ。
中央の回転軸を回すと、バリコンの容量が変化します。
エアバリコン
コイル
コイルは電線が規則的に巻かれた基本構造を持ち、電気と磁気を交互に変換できる性質があります。 つまり、コイルに電気を流すと磁気を発生させ、コイルに磁気を通過させると電気を発生させようとします。
同調回路で使うコイルを、同調コイルと言います。 特性が可変する同調コイルは、μ同調コイル(「μ」の発音は「ミュー」)と呼ばれています。 実際には、コンデンサー側で可変させる例が多いため(バリコンを使うため)、μ同調コイルの使用例は少なめです。
コイルは巻き方や構造、材料などが異なると、特性の異なったコイルに仕上がります。 そのため性能の良い同調コイルを求めて、ソレノイドコイル、スパイダーコイルなど工夫して自作する人も多いようです。
市販品の同調コイルでは、フェライトと呼ばれる磁気を通しやすい素材にコイルを巻いた、バーアンテナがあります。 バーアンテナは同調コイルですが、トランジスターラジオで使用した場合、磁気を通しやすい性質がアンテナの作用も十分兼ねることが可能なので「フェライトバー同調コイル」と言わずに「バーアンテナ」と言っています。ゲルマラジオにも使用できますが、多くの場合、別にアンテナとアースが必要でしょう。
そのほか、並四(なみよん)と呼ばれる構造の真空管式ラジオで使われた並四コイルも、ゲルマラジオに使用できます。
バーアンテナ。黒い棒状のものが、フェライトです。
必要な巻数が少なく、小型化が可能なことも特徴。
並四コイル。元々は真空管式ラジオ用に開発されたコイルです。